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ユニフェイスの開発者ブログ


Title LEGOで学ぶギア(歯車)の回転数とトルクの関係について
  • 2022年6月29日
  • 伊藤太郎
LEGOで学ぶギア(歯車)の回転数とトルクの関係について

この記事ではLEGOのギア(歯車)を実際に利用して、ギアの回転とトルクの関係について記述します。
自動車や自転車、工場で稼働する機械の一部にはギアが使われており、動力をタイミングをあわせて伝達させる場合、歯車を欠かすことはできません。

ギアの回転数とトルクの関係について

一般的な歯車(平歯車)同士がかみ合っているとき、理論上、回転数とトルクは逆数の関係になります。
※実際は摩擦などによって計算通りの性能を発揮できません。

駆動側のギアと従動側のギアが同じ歯数の場合、駆動側:従動側=1:1になるため、駆動側が1回転したら従動側も1回転します。
トルクも同様で、駆動側:従動側=1:1のため、駆動側の動力以上の力を従動側に伝えることはできません。

駆動側のギアの歯数が小さい場合(仮に駆動側を10、従動側を20とした場合)、駆動側:従動側 = 1:2となり、駆動側が1回転したとき、従動側は0.5回転(駆動側の歯数 10 / 従動側の歯数 20 = 0.5回転)となります。
トルクは逆数の関係となるため、駆動側の動力の約2倍の力が従動側に発生します。

逆に従動側のギアの歯数が小さい場合(仮に駆動側を20、従動側を10とした場合)、駆動側:従動側 = 2:1となり、駆動側が1回転したとき、従動側は2回転(駆動側の歯数 20 / 従動側の歯数 10 = 2回転)となります。
トルクは逆数の関係となるため、駆動側の動力の約1/2倍の力が従動側に発生します。

なぜギアの比率を調整をするのか

身近に体感しやすい例として、変速機付きの自転車を用いて考えてみます。
「ギアを下げて静止状態の自転車を漕ぎ出すとき」と「自転車の速度を上げるためギアを上げた瞬間」、どちらもペダルを重く感じると思います。

駆動側のギアをペダル、従動側のギアを変速機として考えてみましょう。
動力となる自分の足の力は一定と仮定します。

静止状態の物体を動かすには大きい力が必要なため、「ギアを下げる=従動側のギアの歯数を増やす=トルク大」となります。
自転車の漕ぎ出しが重く感じるのは、自転車を動かす力がそれだけ必要ということです。
(ギアを上げたまま自転車を漕ぎ出す場合、なおさら力が必要です。)

運動状態の物体を動かすには大きい力が不要(すでに運動量が保存されている)なため、更に速度を上げるには自転車はトルクより回転数が必要になります。
そこで「ギアを上げる=従動側のギアの歯数を減らす=回転数増」となります。
ギアを変えた瞬間は、ギアの歯数の差だけトルクが小さくなるため、その分ペダルが重く感じます。

どちらも動力は一定ですが、目的に合わせてギアの比率を調整することで適切な回転数とトルクを維持して、効率的に自転車を動かすことができました。
自転車であれば無理やり力を入れて漕ぐこともできますが、自動車や工場の機械のギアを自力で回すのは限度がありますし、自動車のエンジンを自転車に乗せるのもの過剰です。
適切な動力を用いて、適切な回転数とトルクを維持して、効率的に力を伝達させるのにギアの比率の調整は必要不可欠です。

LEGOのギアについて

次にLEGOの代表的なギアを紹介します。
LEGO Technicのパーツとしてギアが存在し、
どのギアの歯数も偶数となっており、ギア比の計算は比較的簡単に行うことができます。

Item ID歯数Graph
36478No.3647
3227012No.32270
9492516No.94925
3226920No.32269
364824No.3648
4637228No.46372
3249836No.32498
364940No.3649

また、特筆すべき点として、No.3647同士は1ポッチ間隔、No.94925同士は2ポッチ間隔、No.3648同士は3ポッチ間隔、No.3649同士は5ポッチ間隔で配置可能です。
(上記以外の組み合わせや斜め配置を組み合わせることで、それぞれのギアを連結させることも可能です。)

LEGOには歯車に関連したパーツがいくつか存在しますが、ここでは割愛します。

実際のギアで注意すべき点

上記に記した通り、LEGOのギアの歯数は偶数となっていますが、
実際の現場でギアを用いる際は、噛ませるギア同士の歯数は互いに素(最大公約数が1)になるように設計する必要があります。
理由は、歯車の摩耗をなるべく軽減させるためです。

同じ歯数の歯車を噛みあわせた場合、1:1となるため、ギアの噛みあわせがずれることはありません。
同じ歯が噛みあい続けるため、仮に1つの歯に傷がついた場合、噛みあった歯が傷つけられ続けてしまいます。

ギアの傷は、噛みあったギアを傷つけ、その傷がまた別のギアを傷つけるため、
互いに素になるようにして、均等に傷をつけあわせることで、消耗するまでの時間を遅らせます。

LEGOがそうなっていないのは恐らく、ブロックの寸法の関係か、ただただ頑丈だからかのどちらかでしょう。

自社宣伝

4/20(水)から4/23(土)まで、2022中部パックに出展しておりました。
弊社のブースにて工場の設備機械を模したLEGOを展示しております。
(あくまでメインは工程管理システム「IB-Mes」の宣伝であります。)

10月出展予定の展示会で展示するLEGOの新作を鋭意制作中です。
完成次第、お披露目をしたいと思います。

参考リンク

雑記 ーTechnic(歯車(gear)について)ー
Gear Ratio Calculator

画像引用元

bricklink